サラマンダー
「お選びくだない」
現地訛りに苦戦しつつ、ウルラで出稼ぐ砂漠のエルフ。
ヒルブリンは笑顔で祝福ポーションを渡してくれる。
資金難のエルフは、したり顔でそれを受け取る。
円滑極まりない仕事関係だった。
相棒の便座を走らせ、故郷フィリアにトンボ帰り。
大陸移動を使い、ダンバートンの聖堂に駆け込むのもいい。
昔は一日に一度しか手に入らなかった祝福ポーション。
今じゃ二回も手に入る機会があるなんて、世の中変わったね。
エリン始まったね。
お選んでないことに気付く。
そんな夕暮れ。
落ち込んでいたところに「今、蟻穴で遊んでる」と友人が漏らした。
それを出来るだけ笑顔で邪魔するべく、砂漠の地下迷宮へ。
地下迷宮は、いい思い出が無い場所だった。
主に、道に迷ったエルフを先導中に落下していた。
涙ながらに大陸移動ボタンを押していた。
今日は違う、友人を探しにいくのだ。
友人は居なかった。
でも何か居た。
彼は噂に聞くサラマンダーという生き物に違いない。
サラマンダーはエルフを見やると、鼻息荒くしたり顔で呟いた。
「チッ、所得の低そうな顔だなオイ」
ムカッときて喧嘩売った。
ひいごめんなさい。
壮絶な戦いは、まるで「ダルマさんが転んだ」を彷彿とさせた。
「死んだふりで30秒稼ぎ、ハイドでタゲ外して撃つ」
エルフが持ちうる最も卑怯な戦い方で、徐々に彼のHPを削っていく。
理論上、絶対に死なない戦法だった。
数え切れない程死んだ。
ぜぇ、ぜぇ
とんだ道草を食ってしまった。
さて、友人は何処かな。
「ダンバもどりまー」
あ、はーい。